株式会社エコアニマルヘルスジャパンの最新情報

 2014年9月

 初秋の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

8月の不順天候は、海面水温が高く、熱帯大気の季節内振動によって、アジアモンスーンの活動が不活発となり、偏西風を蛇行させた結果、西日本を中心に記録的な 多雨・日照不足となり、各地で豪雨が発生しました。
皆様のところはいかがだったでしょうか?
まだまだ不安定な気候が続きます、ご注意ください。

 PED景気とでも言うべき豚価の堅調が続いておりますが、被害にあわれた農場では依然大きな問題であり、当局は対策マニュアルを作成すると聞いております。
その中に『馴致』が盛り込まれるとのことです。これまで馴致に対して、「未確認の病原体を振りまくことになれば家畜伝染病違反だ!」と言っていたのに、幼稚園でおたふく風邪のお友達に敢えて接触させようという昭和の考え方を思い浮かべてしまいました。

 アメリカの獣医師が「PEDは皆がフィードバックをし出したので、なかなか終息しないであろう.」と話されたのも思い出します。このフィードバックというのが『馴致』のことで、馴致材料に入っているはずのウイルス量が不十分であれば、爆発する陰性の豚をわざわざ準備することになるし、多すぎると未経産豚等の病態をじゅくじゅく悪化し、経済的被害を敢えて生むことになるでしょう。

 私は「ワクチン」が一番の対策だと思います。米国ではZoetisが条件付きでのワクチンの許可を得ました。
http://news.zoetis.com/press-release/manufacturing/zoetis-granted-conditional-license-porcine-epidemic-diarrhea-vaccine
 先日のPED緊急セミナ‐では、あの茨城県の発生がなぜ少ないのかという点について、①発生後徹底した一斉ワクチン接種が行われた。②出荷トラックが皆自前で、運送会社頼みでないので、車両の消毒が徹底され、ウイルスの持ち帰りがなかったのであろうという話がありました。これもワクチンの有効性を示す良い証拠だと思います。

 また、このワクチンは乳汁を介して、母豚から子豚に行く、乳汁免疫なので、初乳が乳頭から出ていることを確認しないとダメです。またワクチンの抗体が上がり難いものの、1回目8-16倍が2回目で16-32倍、3回目で3桁に、そして4回目以降は最高値になるそうです。もしかすると導入豚に2回、そして妊娠分娩前2週の3回にすると確実に抑えられるのかもしれませんね。ワクチンを3年間徹底したら、日本中から無くなるように思うのですが...

 主な馴致材料は下痢便なのでしょうが、水溶性便にはウイルスはほとんどいません。ウイルス増殖した粘膜上皮細胞は既に剥がれ落ちて、水分吸収できずに全部排泄されているからです。水溶性になる前の下痢便だと、最大で10の12乗個のウイルスの存在が確認されています。また1頭の豚を感染させるのに10の5-6乗必要とされます。先程のフィードバックではうまく終息しないという米国の話は、この馴致材料中のウイルス量がしっかり担保できない点を指摘しています。3回掛けて症状を確認して免疫が付いたことを確認するのも、程度が強すぎれば経済的な被害をわざわざ作り出していることになります。

 「ぶり返し(再発)」という話からワクチンが効かないと言われるようですが、①症状のない変異株やデルタコロナウイルスの感染の存在、②豚個体の再感染ではなく、未経産導入豚に免疫が無い為感染して、それが農場レベルでみると再感染という表現になるようですね。言葉の定義をハッキリしないと誤解が生じます。
 何が解って、何が解らないのか情報の共有をし、地域レベルの防疫が重要となり、オーエスキー病のように県によっての汚染レベルに差がついていくようにも感じます。1日も早いPED終息を願っております。

 

株式会社エコアニマルヘルスジャパン

代表取締役

石垣 克至