株式会社エコアニマルヘルスジャパンの最新情報

 2014年11月
紅葉の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 急に冷え込んできたかと思うと、暖かい日が戻ってきた感じのする関東ですが、皆様いかがお過ごしですか?北日本は平年並み、南日本は少し暖かいという長期予報のようですね。

 PEDもようやく終息傾向と思い込んだのも束の間、各地で新たな発生報告を耳にします。ただ国のとりまとめは『新たな発生』としており、ウイルスがいなくなったことを確認して発生農場の終息宣言をした以降の『再発生』なのか、同じ農場でウイルスが残っていて、免疫の無い導入などの新たな動物に『続発』なのか、はっきりした定義をして区別していないようです。
 ここにこだわる理由はどうやって終息していくのか?そろそろ目指すべきゴールを明らかにするために、同じ物差しで話をしないと、段違い平行棒の論議になってしまうのが恐いからです。特に『ワクチン』が良いのか『馴致』が良いのか?いずれ馴致材料が無くなるのだから、発生時の燃え盛る火を最小限にする『馴致』はするものの、次の段階は『ワクチン』といった時間軸を持った全体プログラムが必要だと考えます。

 9月最終週に公表予定と聞いていた『PED防疫マニュアル』が10/24に農水省のホームページにアップされました。それなので10/10の合同研究会では掘り下げた発表はありませんでした。熱い討論を期待した世界の大竹先生と動衛研の津田所長の攻防はありませんでした。

 さて「防疫マニュアル」の中身ですが、『馴致』の取り扱いにあくまで「言及」しただけで、「発病豚の糞便等を妊娠母豚に投与して免疫を付与する馴致については、確立された手法はなく、安定的な効果を得ることが困難である。このため、原則的には推奨されるものではなく、個々の農場による独自の判断で実施することは適切ではないことから、都道府県は、家畜の所有者に対し、実施に当たっての留意事項及び実施のリスクについて周知及び指導の徹底を行う。」と述べています。『条件付き許可』のようで全く禁止するものではないものの、『推奨されるものではない』という否定的な表現を取っています。
 これをふまえ、是非養豚開業獣医師の先生方には、どういったケースにはこのような取り組みをして、時間軸を持って、どう未発生農場に最終的に持って行き、それを地域防疫につなげ、最終的に日本のPED清浄化に持っていくかという、全体プログラムに向けて取り組んで頂きたい。勝手なお願いであり、まだ全てが分かっていないので、「これだ!」というベストのプログラムは出来ずとも、わかっている範囲でこの取り組みがベターであるという指針を打ち出し、やりながら修正していけば良いのだと考えます。その修正にも「地域防疫」という観点に常に立ち、生産者・獣医師・家保がしっかりスクラムを組まないといけないと感じています。開業獣医師の先生方のお話を聞くと、生産者・獣医師・家保のコミニュケーションが良いところと、まったく連携の取れていないところと同じ日本なのに、大きな温度差を感じます。

 まずはコミニュケーションで、「情報の共有化」を目指しましょう!豚病臨床研究会の会合の中で、「農場員のモーチベーションが心配だ!」という話が出ました。「あれをやってくれ!これをやってくれ!」とつらい作業は増やすばかりで、「これはしなくて良い」という話がなく、『出口が見えない』状況に皆『PED不安』を抱えているそうです。だからこそ方向性を示す全体プログラムの指針を示して頂きたいし、まずはコミニュケーションによる情報の共有化で無用な心配をしないで済むようにはできませんか?
 私の勝手な全体プログラム案は、「他の病原体の存在を否定でき、馴致材料にウイルスが適量入っていて、その馴致確認をしっかり出来るよう指導できる開業獣医師の管理農場を除き、ワクチンを向こう3年皆徹底接種して、日本全体としてウイルスの行き場を無くし、3年経てば取り敢えずウイルス持続感染の最初の繁殖豚が更新でいなくなり、新たに導入してきた候補豚についても、感染防御できないワクチンとはいえ、免疫効果はあるのだから、爆発的な発生を抑えかつウイルス排泄を減らすことを期待し、農場レベルから更に地域レベル、日本全体を考えた場合に抑止的に働くものとして取り組んではいかがなるものでしょうか?もちろん他のバイオセキュリティを含め、全ての対策もしっかり取り組んでいくという前提が大切です。またその際にはモニタリングをプールサンプルで良いので、大量かつ頻回のサンプリングをし、農場が陽性か陰性かをしっかり見極めていくことも大切であると考えます。方向性を確認する貴重な情報です。費用負担についてはTPP問題も含め、海外に対抗できる安全安心、PEDの無い国産豚肉作りということで、是非補助金の手配を求めます。

 米国のワクチンの評判はあまり良くないようで、フィードバックという表現での馴致が流行しているようです。アメリカの真似をしたら、いつまで経ってもPEDは抜けられないと考えます。日本型『カイゼン』で、常に進化する対応策でPEDを撲滅に導きましょう。私のワクチン3年計画私案は、茨城の限定した発生が『徹底したワクチン接種』と『屠場出荷のトラックの使いまわしなく、徹底した消毒・バイオセキュリティ』が大きなカギであると考えるからです。

 一方、未発生農場のふきとりサンプリングからPCRでウイルスが拾えるという報告が増えてきました。未発生農場だから安心でありません。地域内に発生があれば、もう自分の農場まで来ていると考えるべきであり、発生するかしないかは、豚に接触するウイルスの量が一番の要因だと思います。もちろん豚の免疫状態が悪ければ、少ない量で発症してウイルス拡散してしまうのでしょう。しかし、たとえ車のタイヤについていたウイルス+糞便有機物が農場に入っても、真っ白な石灰の道、確実な長靴の履き替え、有機物等汚れを落とした後の消毒等々のバイオセキュリティを徹底していれば、終息に持っていけると信じています。これはPEDだけでなく、オーエスキー病対策でもあり、PRRS対策でもあり、全てに共通する感染病対策です。これが出来ればアフリカ豚コレラもそう大きな問題ではないと思えるのは甘すぎでしょうか。
 今後、地域レベルの防疫意識を強く確立した地域が、生産性の高い地域になるように思います。1日も早いPED終息を願っております。

豚流行性下痢(PED)防疫マニュアル

http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/ped/ped.html

専門家の議論を踏まえ、行政機関、農家、畜産関係者が留意すべき防疫対策を整理し、PED 対策に関して、飼養衛生管理基準の遵守及びワクチンの適正使用を基本としつつ、新たな防疫対策を防疫マニュアルとして規定しました。

豚流行性下痢防疫(PED)マニュアル(平成261024日)New http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/ped/pdf/ped_manual_set.pdf (全文)


 

株式会社エコアニマルヘルスジャパン

代表取締役

石垣 克至