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九月のご挨拶

初秋の候、皆様いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 前回に引き続き、第 7 回国際新興・再興豚病学会「ISERPD 2015 (The 7th International Symposium on Emerging and Re-emerging Pig Diseases)」のお話です。PEDについて取り上げます。

 まず基調講演1人目はオハイオ州立大学のサルフ先生による「PEDウイルスの受動免疫及びワクチン」という演題です。
 北米にとって正に「新興病」で、これまで発生が無かったことと、これほどの病原性のある感染症が侵入・拡大を予知できなかったし、原因を特定できず対策に活かせなかった等々の理由がありました。
 腸管粘膜細胞を標的にするPEDウイルスに対抗する免疫として、母乳中のIgAを介する間接的な、受動的な免疫が重要となります。粘膜免疫、局所免疫を司るのが、初乳中に分泌されたIgAで、これを哺乳した子豚の消化管をPEDウイルス感染から守ることが出来ます。
 ワクチン会社の更なるワクチン開発のみならず、現行ワクチンの最善の使用方法の検討は、これまでの経験から積み重ねられることだと思われます。



 2人目は米国ミネソタ大学のカイケル・マートー先生の「PEDウイルスの免疫:野外と研究室からの観察」です。
 IgAを中心とした粘膜免疫として、感染細胞を用いた感染抑制試験において、IgGを中心とした血清よりも、IgAの割合の高い初乳の方が有効なことが明らかです。50%感染阻止濃度からみると、血清の150倍に比べて、初乳では2,000倍と約13倍初乳の方が高いことが示されています。
 日本では既知の「PED」も米国では「新興病」であったからこそ1年間に700万頭もの被害になったのでしょう。自国に無い病気の準備が大切だと改めて感じました。一方、米国という産業界が即座に一丸となり、現場と直結した研究をする大学という存在が、日本よりも強固なものに映り、羨ましい気もします。



 3人目はアイオワ州立大学のメイン先生による「米国におけるPEDウイルスの出現:発生、観察、行動、教訓」という演題です。
 貴重な診断結果の共有「垣根の無いアクセス」が重要となります。この情報インフラが整備され、効率的にその地域、州、連邦政府レベルで情報を得ることが可能となった基軸は大学のVDL(Veterinary Diagnosis Laboratory、獣医診断研究所)でした。
 ここで、宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター、末吉先生のコメントを抜粋掲載させて頂きます。http://www.miyazaki-u.ac.jp/cadic/divweb/sah/
“社会はボーダーレス、それは畜産衛生も例外ではなく、平常時からの国際防疫ネットワーク作り「創り、養う防疫」が必要です。非常時に慌てないように準備と啓発が必要です。(途中、省略)海外技術協力と共に国内への病原体の侵入リスクを軽減化させる「攻めの防疫」に努めています。”
情報一本化が大切であると感じます。



 最後4人目はパイプストーンのスコット・ディー先生による「飼料を介したPEDウイルス伝播:グローバルな産業の劇的な枠組みの変化」という演題です。
 極めて高いバイオセキュリティでも農場内にPEDが侵入してしまうあらゆる可能性を検証したところ、飼料工場の粉じんダストより陽性結果が認められました。
 そこでホルムアルデヒドとプロピオン酸の合剤、Kemin社の“SalCURB”という製品で感染性を抑制する効果が紹介されました。
 米国FDAより飼料添加の承認を受け、21日間飼料中のサルモネラを陰性にできるという製品ですが、違和感があります。カビ毒吸着剤のように数えきれない飼料中のカビ毒の対策をする前に、まずカビ毒のない飼料原料の確保を論ずるべきで、同様にPEDが混入しないことをまず最初に論ずるべきだとも感じました。
 既に犯人探しは収まったと思っていましたが、疫学の好きな米国では、飼料原材料まで遡ってPEDの混入を突き止め、全く違う枠組みのアプローチが出てくるのでしょうか?



 米国のPED発生の推移を見て、日本の今後を想定すると、フィードバック(馴致)よりも研究データがしっかりしているワクチンの使用に切り替えた対策が進み、終息へと進むのでしょう。
 米国は『2016年PED撲滅!』を豪語しておりますが、私たち日本でも、正しい最新の知識・情報を共有して、オールジャパンとして取り組む必要があります。
 急に涼しくなりました。動物も人間も、一日の気温変動幅が大きいと、体調を崩しやすくなります。万全の対策をお願い致します!


株式会社エコアニマルヘルスジャパン

代表取締役 石垣 克至

920日から26日は動物愛護週間です.

平成27年度動物愛護週間ポスターのデザイン 絵画コンクール受賞作品

○最優秀作品(今年度動物愛護週間ポスターに使用)大関 雅子さん