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十一月のご挨拶

晩秋の候、皆様いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 第 7 回国際新興・再興豚病学会「ISERPD 2015 (The 7th International Symposium on Emerging and Re-emerging Pig Diseases)」参加の4回目、最後のお話です。
アフリカ豚コレラ(以下ASFと略す)についてご報告致します。

1)ポーランド国立獣医学研究所のジグムント・ペジザック先生「アフリカ豚コレラ(ASF)の最新状況」(CURRENT SITUATION ON AFRICAN SWINE FEVER (ASF))

 ASF は、既知のどのウイルスとも関係しない独立したウイルス科に分類される唯一のウイルス種です (アスファウイルス科、アスフィウイルス属のアフリカ豚コレラウイルスとして 1 科 1 属 1 種のウイルス)。また、脊椎動物と節足動物(ダニ)との間を伝播しその双方で増殖するという意味でアルボウイルスの 1つとも言えます。豚コレラウイルスとは「別もの」です。豚コレラワクチンは効きません。
 ASFは1960年にアフリカ大陸の外に広がって、ポルトガルからスペインに伝播され、それぞれウイルスが1995年と1999年まで、30年以上も持続されました。しかし、この2国は早期発見・早期淘汰で清浄化を達成し、「撲滅できるASF」という認識ができたのかも知れません。

 しかしASFの「新時代」とは、2007年に始まった、現在EUで発生しているASFパンデミックの事で、グルジアから流行し、その後、アルメニア、アゼルバイジャン、ロシア連邦で発生が続きます。
 死んだASFV感染イノシシが「汚染されたオブジェ」と言われ、散発的ながら継続するキャリアーとして野生イノシシの存在が大きく関与していることを、イノシシの分布とASF発生の関連性から報告されていました。

まとめ:
1.  豚コレラと比較しても、ASFは必ずしも強力な伝染性を持つ疾病ではない。
2. しかし、豚での致死率は非常に高く、それがほぼ100%。
3. 豚群全体からの死亡率は<10%で比較的低い。
4. 発生があった地域での推定年間有病率は約2%。
5. 感染したイノシシが、ASFウイルス伝播の主な要因。
6.  ASF拡大のダイナミクスは、イノシシ密度に関係して、流行は限定的である。
7. イノシシの制御およびイノシシに対してのバイオセキュリティ対策を適用していなかった。

 以上の結果を日本に当てはめると、衛生管理がしっかりしている日本の農場に侵入するのか?侵入したとしてもASFは大きな発生にはつながらないような気がしてきました。しかし、散発的な発生があるのは、イノシシばかりではなく、汚染物を介した養豚場への侵入であり、十分な注意は必要であることは間違いありません。

2)スペインにあるEUリファレンス・ラボ(ASF)、ベロニカ・ペラヨ先生の「アフリカ豚コレラ:地球規模での展望“最新の挑戦”」(AFRICAN SWINE FEVER: A GLOBAL VISION OF THE CURRENT CHALLENGE)

 当該研究所がどのような取り組みで、国を超えた地域として展開しているのか説明していました。
 当初アフリカの風土病がスポット的にEUでも発生し、さほど重要視してこなかったASFでした。
しかし、その発生が収まらず、更に拡大するリスクを感じさせるようになってきました。この感染症をしっかり認識していない点が、最初の大きな問題点であったと言えます。現在、国を超えた協力体制で撲滅に向けた取り組みがなされています。まずは「情報の共有化」です。
 すべてのブタの品種および年齢に感染し、豚では100%の死亡率を示すことと、現在ワクチンが存在しないことが脅威を感じさせています。名称の通り、豚コレラと同様の症状を示すことより、鑑別が重要なポイントになります。早期発見・早期淘汰しかありません。
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 新興病であるASFについては「知らない」ことが一番の問題点です。相手が強毒なウイルスながら、媒介するダニやイノシシの存在を絶てば対抗できると考えれば、むやみに恐れる必要はないとも考えられます。
 まず相手を知るためには、動物衛生研究所のホームページから勉強することをお薦めします。http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_fact/k21.html
また、村上洋介先生訳の【FAO Animal Health Manual No. 9「アフリカ豚コレラの知識: 野外応用マニュアル」から抜粋】が良くまとまって、理解しやすいと思います。
http://yk8.sakura.ne.jp/ADC-UG/PDF%20files/FAO-AHM09-ASF.pdf

 TPP合意で、今後国内畜産業は厳しい状況下になるでしょう。しかし、この新興病を海外悪性伝染病と置き換え、その海外悪性伝染病において「清浄国」であることは「きれいな畜産物」のブランドイメージ、「安心できる」「安全な食肉」につながり得るものと信じています。『新興病をまず知ること』から始め、バイオセキュリティを高めることが、現場で出来る対策です。

 カレンダーも残り2枚、寒くなりました。日中と夜間の気温変化は大きなストレスです。飼育管理、体調管理をしっかりお願い致します!

株式会社エコアニマルヘルスジャパン

代表取締役 石垣 克至