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十二月のご挨拶

師走の候、皆様いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 10/25-27に参加したマニラで開催されたAsian Pig Veterinary Society(APVS:アジア養豚獣医学会)の概要を報告致します。


このAPVSは2年ごとに開催され、IPVS(世界養豚獣医学会)と交互に開催されております。ちょうど10年前の2005年にマニラで開催されました。さぞかし都市も発展したのだろうと思いきや、相変わらず「Money!」と言ってまとわりつく裸足のStreet Childrenには正直驚きました。この国は、相変わらずの権力構造で、今後も変わらないのだろうと強く感じました。そんな外界とは隔絶された五つ星のホテル会場で行われたAPVSですが、詳細スケジュールや会場案内図が配布されない、これまでにない不便な学会でした。メイン会場は国旗カラーの飛行機を背景にしたステージで、学会というよりイベントを思わせる演出でした。
 
 演題数は口頭発表48題、ポスター発表160題で、相変わらずPRRSが取り上げられ、PCVは一段落、最近の話題のPEDもあるものの、これは知らないといった新規の疾病は見当たりませんでした。一方で、疾病そのものを取り上げる発表よりも、生産レベルでの利益を確保する発表が増えたと感じました。これは生産者側の意識が変わってきたことを意味するように思います。難しい病気の名前より、どのような対策を取ったら、とれだけのリターンが見込めるのか、生産レベルでのコストと利益を明確にしたい現場の意識が、獣医師にも求められてきていると判断します。
 
 PED以外の講演発表に目新しいものは見当たりません。ASF(アフリカ豚コレラ)は今年の京都ISERPDでの講演内容同様、ポーランドの取り組み事例で、イノシシが媒介動物として重要というお話でした。
 
 フィリピンと言えば、ニパウイルスが1998年にマレーシア半島で、ヒト病原体として初めて確認されています。感染したブタの分泌物に触れた養豚農家や食肉処理場の作業員に発生し、重い脳炎を引き起こし、多くの死亡を引き起こし、これが拡大するのか心配になりました。その後、大きな発生もなく、今回発表もありません。こちらも媒介動物をしっかり押さえることが肝要で、フルーツバット、いわゆるオオコウモリが元々持っているウイルスで、コウモリの尿、糞を含めた排泄物を介して豚に感染したと考えられています。また2009年、フィリピン政府は、エボラ・レストンウイルスに感染した豚と接触した食肉処理場従業員が検査の結果、抗体陽性を示したと発表しました。今までにこのレストンタイプにヒトが感染し発症した例はなく、「ヒトのエボラ出血熱」ではないと発生を否定されています。このような情報収集も今後のAPVSの課題と考えます。
 
 次回2017年のAPVSは中国の内陸部、武漢で開催されます。2年後の日本の養豚業はどうなっているのでしょうか?また開催国の中国はどう変化しているのか楽しみです。今後、TPPでUSポークやカナディアンポークが競合相手としてより強力に登場してくるのでしょうが、それは他のアジア諸国でも同じことで、APVS参加では、病気以外の海外情報入手も大切であると感じています。最近、日本の養豚生産者がフィリピンに打って出るような噂を聞きます。タイで成功している華僑系企業CPグループや最近進出目覚ましいインドネシア資本は、母国が飽和状態なので、他国に養豚場建設していますが、フィリピンには展開していません。ベトナムやその先のカンボジアにどんどん新養豚場を設立しています。打って出るならこちらの方が良いと思います。
 
 国連世界気象機関(WMO)は、2015年が観測史上最も気温の高い年になる可能性があると発表しました。エルニーニョの影響で、単に暑いだけでなく、局地的な豪雨や干ばつを生み、この冬も寒冬と暖冬の両方が考えられ、寒波と予想以上の降雨が心配されます。気温差のみならず湿度変化も大きなストレスです。動物も人間も、呼吸器病対策をしっかりお願い致します!

株式会社エコアニマルヘルスジャパン

代表取締役 石垣 克至