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二〇一七年十一月のご挨拶


晩秋の候、皆様ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。急に寒くなったと思ったら、雨続きの10月、あまり「秋」を感じることなく過ごしてまいりましたが、木の葉の色の変化やお節料理、年賀はがきの宣伝に年の瀬が近づいてきたと感じております。

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 さて、今回は豚病臨床研究会でも取り上げられた「ポスト飼料添加物コリスチン」を考えます。 ここで言う「ポスト」とは「代替品」という意味です。論点をハッキリさせないと毎度のことながら、意味の無い議論になってしましますね。

1)飼料添加物の定義をハッキリさせる。

『飼料の栄養成分の補給、品質低下の防止、栄養成分の有効利用の促進を目的として飼料に添加される、ビタミン・ミネラル・抗菌性物質など』のことです。ここでのコリスチンは「飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進」という目的であり、それは成長促進であり、抗生物質が腸内フローラの安定化につながり、ひいては増体が良くなるという理解をしています。ですので、抗生物質としての抗菌活性そのもの、治療効果を目的とした動物用医薬品としての使用目的とは異なります。

 ここから「代替品」という論点からすると、コリスチンと同等の成長促進を示せば、代替品として合格ということになり得ると考えます。その効果を検証するときに、代替品も飼料添加物という同じカテゴリーなら、比較しやすいのですが、単に飼料原料であるものでは、その比較が難しいと感じております。

 着香料(ハーブ、消化酵素分泌を促進するもの、免疫に影響を与えるもの等を含む)、酵素、生菌剤、その他アミノ酸など、種々の「代替品」と称するものが存在します。どれが良いとか悪いのではなく、抗生物質のようにその抗菌活性を科学的に規定できるものと、規定が曖昧で、またその添加量がいくらであるとどのような効果があると規定できないものを比較するのは難しいと考えます。その対象動物、飼育システム、餌、飼育環境で、その農場ごとで比較試験して同等ならば、「代替品」と言えるのでしょう。だからこそ「これなら効く!代替品である!」と断言できるものは多くないと考えます。

2)20187月で飼料添加剤として使用できなくなる理由。

 耐性菌問題からです。このコリスチンの場合は一般論的な抗生物質の使用を適正化しようというものとは少し異なるようです。近年、既存の薬剤では効果が期待できない多剤耐性緑膿菌、多剤耐性アシネトバクター属など多剤耐性グラム陰性桿菌による院内感染症の発現が社会的な問題となっています。その治療に関して、コリスチンを使おう!ついては耐性株を懸念して動物用に使用される飼料添加物としての使用を一切禁止しようということのようです。私自身は動物での使用により耐性株が出現して、ヒト臨床場面での院内感染問題を引き起こす直接的原因としてしまう現状に異論があるのですが、この世の習性で、既に決まってしまった欧米のトレンドとして、「逆らえないもの」と位置付けてしまいます。

3)畜産業が目指すもの。

 抗生物質の使用はどんどん減少するでしょう。ペニシリンの発見時を想像すると、これまで細菌感染に対策がなく、抗生物質という特効薬が多用され、その後、新規抗生物質開発が繰り広げられてきました。一方、多剤耐性菌の出現で「適正使用」「慎重使用」が求められ出しました。昔と違い、その衛生環境が改善され、ヒトの食生活も豊かになって、自然治癒力が高まってきましたよね。「宇宙戦争」の地球の微生物でやられる宇宙人のようになってしまうと困るという発想は「ありえない」と考えますが、身の回りの病原微生物は限りなくゼロに近くなり、症状を示す感染症というものが日常生活に見かけなくなる日が来るものと信じています。つまり抗生物質の必要性が低下していくものと推察します。畜産においては、養鶏産業のように養豚も酪農も肉牛も将来的には工場生産的になるのは間違いなく、病原体が入れない工場環境では、抗生物質は不要となる日が来るのでしょう。さらにワクチンすら不要になる時代を想定します。

 飼料添加物としての使用が禁止されても、動物薬として処方され、結果その使用量は変わらないということではなく、世界的には減少傾向であるのは、単にアンチ抗生物質の風潮だけでなく、将来の畜産業を考えれば必須のことなのであろうと思います。育種改良が進み、衛生環境が向上していく中、『代替品』の心配はいらないのではと感じています。ただし、本当に『価値のある』資材としての代替品を選定する上では、科学的な確認作業をお願いします。

 腸内細菌の大家であった東大名誉教授光岡先生の退官記念講演を思い出します。「私のマウスやラットで実験した成果をヒトに外挿する(当てはめる)と、効果を得るためには1日にバケツ何杯もの生菌を投与しなければならず、ヒトでは現実的でない。」 ヒトの方では「脂肪の吸収を抑える」といった医薬品的効能効果でない効果(?)を謳える「トクホ」なる製品が総売上高6,000億円を超えています。信じるものは救われるというトクホは畜産には必要ないのしょう。

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  AI問題やグローバル化、人口爆発、食糧安保、イスラム問題等々、今後の世界を取り巻く問題は多々あれ、戦後目覚ましい発展を遂げ、バブルを経験し、今老化社会の先頭を進む日本は、「何が本物か?」皆理解できるハズだと信じております。

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 耐性菌問題への日本のアクション・プランには、期限付き数量目標はありません。下図のようにドイツ・フランス・オランダの抗生物質使用量は2015年時点で5年前の約半分まで減少しているようです。日本は「適正使用」ということで、皆様の賢い選択、日々の積み重ねにより、しっかりした未来を作り上げていけるものと確信しております。

株式会社エコアニマルヘルスジャパン

代表取締役 石垣 克至


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