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2019年7月のご挨拶


盛夏の侯、皆様ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。もう半年が過ぎました。先月ロンドン本社に行った時のお話です。中国のアフリカ豚コレラ(ASF)の情報の修正版です。

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大規模化農場建設へのきっかけ

 今回のASFの流行で中国の豚の半分が死亡といった“センセーショナル”な報道がなされてきましたが、これは「農家が数頭残飯飼育していた裏庭養豚(Backyard Pig)といった、市場出荷よりは祭り・祝い事の時に家庭で絞めて、自家消費する豚が完全にいなくなるだけで、これを好機に大規模企業養豚が増加し、結局は「中国の需要に対応できる供給体制が、“大規模化”という形に推移していくだけ」と聞いておりました。また、その大規模養豚はバイオセキュリティが高く、ASFウイルス感染とは無縁なものと信じていました。

 世界の豚の半分、EUの2倍の豚が中国に存在して、裏庭養豚の継続は無くなり、その分が大規模養豚の新設でまかない、トータルとしては豚の数が最終的には大きく変わらないであろうという見通しでした。

 事態はそれほど”単純”ではないという今回のお話です。米中貿易摩擦で、米国からの大豆等飼料原料がこれまで通りの安価では入手できないという状況になりました。直接的なコストアップだけに留まらず、その他の製造業種においても認めれる“中国離れ”の動きが起こっているそうです。以前日本企業で起こったように、『中国製造』にこだわらず、安価な製造コストの国で展開しようという事です。中国での大規模企業養豚の話が、中国国内生産ではなく、”海外生産”という発想に切り替わり、CPFなど華僑を通じ、ベトナム・ミャンマー・ラオスへ展開していくようです。
 今回のG20でも中国国家主席の習近平の表情には余裕なく、笑顔もこわばっていた印象でしたね。我らが首相が間に立ってはいるものの、この2強の仲介役を果たせたとは思えません。トランプ大統領はこれまでどおり、中国側の最大限の譲歩が無い限り、徹底した関税引き上げ要求を継続するのでしょう。

中国養豚へのマイナス要因

 中国国家発展改革員会の「全国農産品成本収益」によると生産費の57%を占める飼料原料のみならず、11%の労務費も年々上昇し、『中国製造』が必ずしも良いとは限らない状況になってきました。元々政府は5か年の「全国生体豚生産発展計画」により、地方農村部で養豚産業を推進し、都市部では逆に撤退を求める形です。(1)母豚300頭以上で年間5,000頭出荷(2)2年以内に重大疾病を発生させない農場以外は、“養豚場認定“を取り消し、他の産業を誘致しています。

 間接的には、豚肉流通の大きな変化もあります。中国肉類協会の聞き取り資料として、豚肉流通は20%冷凍30%冷蔵で、残る50%はウェットマーケット(常温流通)です。これが食品衛生の概念向上と消費者の「食の安全安心」の意識変化から、ライブマーケットの廃止とともに、流通コストアップが新たに見込まれます。
 また、大規模化を手放しを容認した結果、河川への”糞尿廃棄”問題が大きくなり、「飼養禁止区域」を設定し、中には立ち退きまで要求しています。「水質汚染防止行動計画」によるもので、現時点では都市部への対策にとどまっているようですが、今後全中国に拡大するでしょう。

 更に『環境保護税法』が今年施行され、大気汚染・水質汚染・騒音等に新たな課税が始まりました。養豚農家には500頭以上を飼育する養豚農家へ、豚1頭に付き、地方では1.4元、北京では14元が課せられました。
 一方で、生産者側の問題もあります。生産年齢人口は2015年に既にピークを過ぎ、日本同様老齢化問題を抱えています。これを支える年代には「一人っ子政策」による様々な問題があります。農村部では男子ばかり求めたが為、男女比♂1.2対♀1.0といった不均衡が生じ、2020年に結婚適齢期の男性が女性より3,000万人多くなり、奥さん探しにアフリカに出かける“剰男”がいるそうです。結婚を諦め、親元離れ都会で一人暮らしをする“空巣青年” なる新語も生まれています。

 目覚ましい発展を遂げてきた都市部が良いかというと、両親に祖父母を加えた“6人の親”を抱えた贅沢、かつ我が儘に育った“小皇帝”や“小公主”といった問題を抱えています。具体的には結婚しても我慢できず、離婚する割合が都市部で40%を超えると言われています。

AI(人工知能)

 全ての産業で世界一を目指す中国ですが、労働力不足問題を一気に解決するために、AI技術開発に巨額の投資をしています。養豚業に限らず、これにより『世界の工場中国』が復活できるのでしょうか?今や医薬品製造はインドへとシフト済みです。2024年中国を抜き、世界一の人口大国のインドの動きは、世界に大きな影響を与えるのでしょう。鶏・牛肉消費量は増加していますが、豚肉は“不浄なもの”として食べない以上、養豚生産大国にはなり得ないと推測されています。

 以上、中国が抱える種々の問題から、中国の養豚は必ずしも復活できるとは限らないようだというのが、今回のお話です。
 ①将来予測は難しい。②登場主要国は1つでない。③影響する要因も1つではない。だからこそ、世界も動きを知ることが今後の日本養豚に必要だと強く感じます。隣国アジアを知れば、日本への影響も推測できるのではないでしょうか?

 日本のカレーがインドでも人気だそうです。【CoCo一番】で来日インド人が好んで食べるのはサクサクのチキンカツカレーだそうです。万一、“不浄なもの”である豚肉の意識改革があれば、トンカツカレーがインドを、いや世界を席巻する可能性が十分あると個人的には思います。それは英国人上司が”毎日のランチがトンカツでも良い“と言う程、トンカツの肉厚・サクサクにハマっていたからです。新しい食文化の導入が新たな市場を形成できる可能性があるのだと思います。
 将来を予想することは難しいです。しかし、未来を生きていくためには、海外情報も必要だと感じます。日本の食べ物はすべて美味しいと思います。昔ながらの伝統的な料理もさることながら、新しい世代や時代が新しい食文化を創造してきました。イベリコ豚よりも有名になる“ニホン豚”という国産豚肉の進化を期待しております。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56400?page=4
評論家、近藤大介『米中貿易戦争のウラで、いま中国で起きている「ヤバすぎる現実」』より


株式会社エコアニマルヘルスジャパン

代表取締役 石垣 克至

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