2023/09/15

研修日記:エコアニマルヘルス Poultry Mycoplasma workshop

研修日記:ECO Poultry Mycoplasma Workshop

日本レイヤー株式会社
橋本 亘

8月22~24日に、マレーシア クアラルンプールにおいてECO Animal Health Poultry Mycoplasma Workshopを開催しました。本セミナーに日本レイヤー(株)橋本 亘氏に参加いただきました。その研修日記をお届けいたします。

 今回貴重なお誘いをいただき、8/22から8/24の日程でプトラ大学獣医学部にて行われたエコアニマルヘルス 鶏マイコプラズマワークショップに参加させていただきましたので、その内容をご紹介させていただきます。

 本ワークショップは東南アジアを中心とした参加者にむけて現地の状況に合わせた内容で行われると伺っていました。それらの国々と日本では、鶏病の発生状況がかなり異なるとは思いましたが、マイコプラズマに関して自分の知識や経験を再度ブラッシュアップするいい機会だと思い参加させていただきました。

 まず、主催者について紹介します。エコアニマルヘルスヘルス社はイギリスに本社を置く製薬会社で、主に畜産動物の抗生物質・抗菌剤、ワクチンを製造販売している会社です。日本では抗生物質のアイブロシンや牛・豚用イベルメクチン製剤などを販売展開しています。この会社の特色は単に製品を販売するだけでなく、畜産現場に近いところで常に活動し、野外の情報をフィードバックして開発を進めることに主眼を置いている点です。同社によると、売上の10%程度を開発に充てており、製品開発を非常に重視しているとのことでした。また英国では10年以上株式市場に上場を維持しているそうです。

 前述の通り、今回のワークショップは東南アジアを中心とした顧客をマレーシアに集めて、鶏病とりわけマイコプラズマに焦点を当てた内容でした。参加者は講師を除くとマレーシア、ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピン、バングラデシュ、パキスタン、それに加えて私が日本から参加させていただきました。実際参加してみて感じたのは、内容が非常に具体的で突っ込んだ話がされていたことでした。参加者は各国ブロイラーインテの生産責任者や各国の孵化場の責任者、フィールド獣医師などで、非常に積極的に質問や議論が交わされていました。日本のレイヤー業界の場合、MG・MSに関する事例の経験値は各社で留まりがちで、広く共有されることがあまりないと個人的には感じていますが、今回様々なケーススタディを聞くことができたのは非常に貴重な経験となりました。

 ラボレベルでのマイコプラズマの培養特性にも話が及び、細菌学の基本も復習することができました。個人的には大学時代に微生物学教室に在籍しており、夏休みの期間に、休み明けからの下級生の実習に供するためにマイコプラズマを培養したことがありました。マイコプラズマは非常に培養に時間のかかる微生物で、何日経ってもコロニーを確認することができず途方に暮れた記憶があります。当時は先生に言われて渋々やっていましたが、今思えば貴重な経験を積ませてもらっていたんだと、今になって改めて感じました。

 マイコプラズマは宿主外環境での抵抗力がそれほど強くない病原体にも関わらず、畜産現場においては制御の難しい病原体で、種鶏群でのフリーを維持するのは先進国においても困難なことがしばしばあります。ワークショップでは東南アジアの状況を念頭において、陽性鶏群からの垂直感染による損失を最小限に抑えるためのモニタリング、次回鶏群導入前にすべきことなど、極めて現実に即した話題が提供され興味深いものでした。現在の日本において、マイコプラズマによる経済的損失はある程度コントロール下にあると思いますが、今のような状況に収まっているというこの状態は、先人たちの苦労の賜物であるという点も再認識させられました。

 3日のプログラムの中では、マイコプラズマ以外にもLPAIやIB、エンテロコッカスなど他の鶏病についての議論も交わされ、参加者の、それぞれが置かれた困難な状況を何とかコントロールしていきたいという前向きなエネルギーを感じました。また、実習では実際に孵化場から持ってきた生き籠り卵や廃鶏を使用して採材方法や解剖方法、その際に見るべき点など大学の設備を利用して見ることができました。

開催地クアラルンプールについて

 今回の滞在は3日間でしたが、8月のマレーシアは当社が所在する岐阜よりもかなり涼しく感じました。最高気温は33度程度だったのではないでしょうか。夜も深夜ではない時間に25℃くらいには下がり、比較的過ごしやすく感じました。日本では6月後半から暑すぎるため屋外でジョギングをしていなかった私ですが、今回は朝に少しジョギングをすることもできました。

 私にとってマレーシアは今回で3回目の訪問でした。マレーシアは中国南部を中心とした華僑が多い関係で、海南料理や福建料理の影響を受けたメニューが多く見られます。日本の町中華で食べているようだと私は感じており、もともと好きでした。今回は中国料理系だけでなく、串料理のサテーなどのマレー料理をいただく機会もありました。こちらも少しスパイシーだったり、結構甘かったりしましたが、おいしくいただきました。マレーシアには日本の年金受給者が多く暮らしているという話を聞いたことがありましたが、温暖な気候に加えて日本人の口に合う食生活があるのもそういう方を引き付ける部分なのだろうと感じます。今回のセミナーの滞在中は参加者のイスラムの慣習を気遣ってか、元々国全体がそうなのかわかりませんが、お酒と一緒に食事をすることが全くなく、そういう意味でも健康的でした。

 私にとってのマレーシアの食のハードルを強いてあげるなら飲み物が超甘いこと、これが唯一でしょうか。コーヒーも、食事のお供のアイスティーも鮮やかな色のドリンクも基本とても甘いです。砂糖が飽和水溶液一歩手前の濃度で使われていると思います。これも3日でだんだん気にならなくなってきましたが。

 マレーシアは産油国であることに加えて、国策でガソリンが非常に安く設定されています。マレーシア人曰く、マレーシアは世界で最も油の安い国。だから冷房もガンガン、Eカーが普及しない国とのこと。ハイオク相当で3.37リンギット、レギュラー相当が2.05リンギット、軽油が2.15リンギットとなっていました。1リンギットが31円くらいなので、レギュラーガソリンはリッター63.5円の計算になります。車は日本と同じ右ハンドルで、国産のPROTON社製の車以外は日本車の割合が他国より高いと感じました。欧米などでは日本車でも日本と同じモデルを見かけないことが多いですが、マレーシアでは日本と全く同じモデルが走っているのも興味深い点です。ベルファイヤ、ハイエース、ハリアー、CR-Vなどが人気があるように感じました。ガソリンは安いですが、車は非常に高いとのこと。車に限らず、今回の狭い行動範囲の中でも三井アウトレットパーク、イオンモール、ニトリ、ファミマなどを見かけました。同国での日本資本の存在は比較的大きいように感じました。

 卵はあまり大きなスーパーで見たわけではないので、代表的数値かどうかわかりませんが、8/24時点で中心部のミニスーパーで販売されていた10個入りの赤ないしピンクの通常卵が6.90リンギットでした。これは1パック217円くらいの計算になるはずです。比較対象としてコカ・コーラのペットボトル(日本でいう500mlサイズ)が3.50リンギット(約110円)です。価格の体感はそんなもんだということでご理解いただければと思います。

以上、文面では伝えきれませんが、今回非常に貴重な場を提供していただいたエコアニマルヘルスジャパン様に感謝を申し上げます。

HOME
製品情報+
技術情報+
企業情報
お問い合わせ