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二〇一六年五月のご挨拶
 

新緑の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたでょうか?弊社では五月病とは程遠く、目の前の仕事をこなすので一杯で、過ぎてしまいました。

 今月は「薬剤耐性」について触れてみたいと思います。これは私の受け止め方であり、一般論とは違うという前提でお読み下さい。宜しくお願い致します。

 ①2/27日本獣医師会の獣医学術年次大会での「薬剤耐性菌と抗菌剤の慎重使用」②3/20日本医師会の「ヒトと動物の一つの衛生を目指すシンポジウム-人獣共通感染症と薬剤耐性-」を聴講して感じたことです。

これまで、ヒト領域で問題となる多剤薬剤耐性菌の原因が、動物用医薬品として特に家畜での抗菌剤使用によるものという論議に疑問を常に抱いておりました。しかし、世の中の関心事が根本原因から離れ、現状対応策として「何をなすべきか?」に代わり、原因究明から離れてきた点と、正当な動物用使用が遠のいていく点に大きな不安を感じております。

 まず、明確にしておきたいのは、成長促進目的で多用してきた飼料添加剤の家畜向け抗菌剤は、自然成長以上に筋肉増強させるホルモン剤とは異なり、腸管フローラ安定による本来持っている家畜の成長能力を最大限発揮させようと考えられたものでした。確かに家畜内でも耐性菌の問題がありましたが、それが直接的にヒト領域に行って問題になるという認識はありませんでした。
 ですから、その「原因」を科学的に追究すべきだとこれまで考え続けておりました。加えて、あらかじめエサに混合しておく飼料添加剤としての使用を禁止しても、代替的な治療的な使用量が増えたEUの推移を見て、小手先の違いだけでは、問題解決には至らないのであろうと思いました。

 確かに卵内接種に用いられた抗菌剤については、使用中止後、分離される耐性菌は劇的な減少を示しました。適正使用、慎重使用が重要であることは間違いありません。

 しかし、原因を家畜由来として、米国ではファーストフードや食料品店が、抗菌剤を使用しない家畜由来の肉しか使用しないとするのは、いかがなものかと感じております。もし病気が出た場合でも治療せず、死亡していくことを又は早期淘汰を容認するのでしょうか?家畜生産という経済性や食糧問題に加え、動物愛護の点でヒトの行動をどのように解釈するのでしょうか?
 更に戸惑ってしまう点は、①抗菌剤自体が動物専用としても、その耐性獲得がヒト耐性へと伝達してしまう可能性がある点、②その遺伝子解析からヒトで分離された耐性菌が動物由来と確認が出来た場合でも、その頻度が低いものがヒト-ヒト感染では高頻度で拡がってしまう可能性がある点です。私が言いたいのは、どんな抗菌剤も耐性菌へとつながる可能性があるので、動物由来云々を言っても意味が余り無いと感じ始めております。全ての抗菌剤使用について、慎重使用をするべきで、そのための対応を徹底する方が先であるはずです。

 慎重使用について、生産現場や獣医師がどの程度理解し、現場で実践されているか解りませんが、第一選択薬、第二選択薬という概念と異なり、初めから2種の抗菌剤を投薬したりする現場獣医師がまだおられる実態を聞くと、「昔話ではないか?」と到底信じられません。

 考え方の問題ですが、地下水ならヒトが操作していない『自然』だから安全という保証は今はありません。逆に水道水では水道法に基づく水質基準に関する省令で51種類の検査(最近ではこれに加えた検査を要請される)、地下水は食品衛生法による水質基準項目として26項目だけです。一般論として日本の規制は「まさかそんなことはしない!」という『性善説』に基づいたものだと理解しています。過去、不当廃棄物による水質汚染で、地下水だから大丈夫と長年飼育してきた家畜が発育不良、死亡率が急増したケースに出くわしたことがあります。

 一方、人類の食用タンパク確保を考えた場合、科学的な根拠なく、有意義な薬剤が使用できなることは避けるべきだと常に考えています。外国とその取り組みに一線を引く、日本の行政が諸外国のトレンドに惑わされることなく、かつ『One World』の意識で、より良き道を選択していくことを期待しております。


株式会社エコアニマルヘルスジャパン

代表取締役 石垣 克至




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